第15章

「田中社長、こちらが今月の財務報告書です。それから、会社で選別した応募者の履歴書になります」

岩崎奏太は束ねた書類をデスクの上に置いた。

田中辰哉は履歴書をぱらりとめくり、ふと手を止める。

ページの片隅、証明写真の女――切れ長の目元、鋭い眉。整った輪郭。

岩崎奏太は社長の視線が写真に縫い止められたのを見て、黙って目を伏せた。

……若奥様を入社させることに、田中社長は首を縦に振るだろうか。

当時、田中辰哉が破格の条件で声をかけたのに、若奥様はその場で断った。あの一件が、頭をよぎる。

田中辰哉は淡々と言う。

「この二人、採用」

三通の履歴書のうち、二通が残り、一通が脇に寄せられ...

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